※実際のご相談を参考に、内容を一部変更しています。お名前は仮名です。
前回ご紹介した、大林さん(仮名)ご夫婦。
子どもたちが独立し、4LDKの自宅に夫婦二人。
「自宅を売って、夫婦二人なら賃貸でもいいのでは?」
と考え、一括査定を利用したことが始まりでした。
ところが気づけば、査定を依頼した不動産会社は10社ほど。
会社によって査定額も説明も違い、
「もう、わけが分からなくなってきました……」
という状態になっていました。
一番高い査定額なら、本当に高く売れる?
各社の査定額を聞いてみると、やはり金額には差がありました。
大切に暮らしてきた自宅です。
高い金額を提示されれば、
「そんなに高く売れるんだ」
とうれしくなるのは当然です。
ただ、ここで知っておいていただきたいことがあります。
査定価格は、その金額で売れることを保証するものではありません。
例えば2,000万円と査定する会社と、2,300万円と査定する会社があったとしても、2,300万円を提示した会社が必ず高く売ってくれるとは限りません。
大切なのは金額だけではなく、
「なぜ、この価格なのか?」
という根拠です。
周辺では実際にいくらで売れているのか。
現在、どんな物件が競合しているのか。
土地や建物の状態はどう評価されるのか。
そして、その価格で購入を検討する人がいるのか。
一つずつ整理していきました。
査定額より先に考えてほしかったこと
でも、私が大林さんご夫婦に一番確認したかったのは価格ではありませんでした。
そこで、こんな質問をしました。
「この家を売ったあと、お二人はどんな生活をしたいですか?」
すると、ご夫婦からいろいろな話が出てきました。
夫婦二人なら、今より小さな住まいで十分。
庭の手入れに追われなくてもいい。
年齢を考えれば、買い物や病院に行きやすい場所もいい。
持ち家にこだわらず、賃貸でも構わない。
話をしていくうちに、
「自宅はいくらで売れるのか」
という話から、
「これから夫婦二人でどう暮らしたいのか」
という話に変わっていきました。
そして最終的にご夫婦が出した答えは、
「元気な今のうちに、この家を売ろう」
というものでした。
「高い査定額」ではなく「売れる価格」で
売却することが決まれば、次は販売価格です。
10社の中には、当社より高い査定額を提示した会社もありました。
もちろん、できるだけ高く売りたい。
それは私たちも同じです。
ただ、相場から大きく離れた価格で売り出し、長期間売れ残ってしまうことが、本当に売主様のためになるとは限りません。
周辺の成約事例や競合物件などを確認しながら、
「この価格なら、どんな方が購入を検討するだろう」
というところまで一緒に考え、販売価格を決めました。
そして、売却活動をスタートしました。
そして、購入希望者が現れました
販売を始めてしばらくすると、購入を検討したいというお客様からお問い合わせが入りました。
内覧していただき、条件について調整を行い――
無事、売買契約となりました。
長年、家族で暮らしてきた家です。
子どもたちを育て、家族で食卓を囲み、たくさんの思い出が残っています。
その家を、今度は別の方が「ここで暮らしたい」と選んでくれました。
大林さんご夫婦にとっても、少し寂しさはありながら、一つの区切りになったのではないでしょうか。
10社の査定で、本当に必要だったもの
最初は、
「自宅はいくらで売れるんだろう?」
というところから始まりました。
そして10社に査定を依頼し、たくさんの査定額と情報が集まりました。
でも最終的に大林さんご夫婦に必要だったのは、一番高い査定額を探すことではありませんでした。
自宅はいくらなら市場で評価されるのか。
売却したあと、どんな住まいに移るのか。
これから夫婦二人で、どんな生活をしたいのか。
それらを一つずつ整理したことで、ようやく答えが見えてきました。
現在、大林さんご夫婦は4LDKの一戸建てを離れ、夫婦二人の生活に合った住まいで新しい暮らしを始めています。
子育てのために必要だった家が、その役目を終え、今度はその家を必要としている方へ引き継がれていく。
これも一つの住み替えの形だと思います。
査定額で迷ってしまったら
複数の会社に査定を依頼すること自体は、決して悪いことではありません。
ただ、
「会社によって言うことが違う」
「査定額がバラバラで分からない」
「結局どこを信用すればいいの?」
そんな状態になってしまったら、一度、査定額の比較から離れてみてもいいかもしれません。
家をいくらで売るかと同じくらい、「売ったあと、どう暮らしたいのか」も大切です。
千信不動産では、売却することだけを目的にするのではなく、その後の住み替えや暮らしも含めて一緒に考えています。
「まだ売ると決めていない」
そんな段階からでも、お気軽にご相談ください。