※実際のご相談を参考に、内容を一部変更しています。お名前は仮名です。
子どもが巣立ち、4LDKに夫婦二人
今回ご紹介するのは、大林さん(仮名)ご夫婦のお話です。
大林さんご夫婦が暮らしていたのは4LDKの一戸建て。
この家を購入した頃は、子どもたちも一緒に暮らしていました。
子ども部屋があり、家族で食卓を囲むリビングがあり、当時は家族にちょうどいい広さでした。
ところが年月が経ち、子どもたちはそれぞれ独立。
遠方で結婚し、それぞれマイホームを持っています。
気がつけば、4LDKの自宅に夫婦二人。
使わなくなった部屋も増えました。
そんな生活の中で、ご夫婦は少しずつ考えるようになったそうです。
「この家、これからもずっと必要なのかな?」
「夫婦二人なら賃貸でもいいんじゃない?」
今は問題なく暮らせていても、これから年齢を重ねれば、家や庭の手入れも負担になるかもしれません。
固定資産税もかかりますし、給湯器などの設備が故障すれば修理も必要です。
外壁や屋根など、大きなメンテナンスが必要になることもあります。
子どもたちが将来この家に戻って暮らす予定もありません。
そこで、
「元気なうちに自宅を売って、夫婦二人にちょうどいい賃貸に住むのもいいんじゃないか」
そんな話をご夫婦でするようになりました。
ただ、今すぐ売らなければならない理由があるわけではありません。
長年暮らしてきた家ですから、もちろん愛着もあります。
売るべきか。
このまま住み続けるべきか。
まだ答えは出ていませんでした。
まずは「家の値段」を知ってみよう
そこで大林さんは、
「まず、この家がいくらくらいで売れるのか知ってから考えよう」
と、インターネットの一括査定を利用しました。
その中の一社として、当社にも査定のご依頼をいただきました。
お話を伺い、売却を考えた理由や今後の希望などを確認したあと、他の不動産会社にも査定を依頼しているか聞いてみました。
すると、
「はい。何社かにお願いしています」
とのこと。
「何社くらいですか?」
と尋ねると、
「10社くらいです」
私も少し驚きました。
高い査定、低い査定。会社によって話が違う
大林さんも、最初から10社にお願いするつもりだったわけではありません。
「せっかくだから他の会社にも聞いてみよう」
「こちらの会社は、もう少し高い」
「それなら、もう一社にも聞いてみよう」
そうしているうちに、相談する会社がどんどん増えていったそうです。
そして当然、10社すべてが同じ査定額を提示するわけではありません。
「このくらいが相場です」
という会社もあれば、
「もっと高く売れると思います」
という会社もあります。
さらに、
「まずは高めに売り出してみましょう」
と提案する会社も。
電話も次々とかかってきます。
「その後どうですか?」
「他社はいくらでしたか?」
「うちならこの価格から始められます」
情報を集めれば集めるほど、判断材料が増えていきます。
ところが、大林さんの場合は逆でした。
どこの会社が、いくらだったのか。
誰と、どんな話をしたのか。
結局、自分の家はいくらなら売れるのか。
だんだん整理がつかなくなってしまったのです。
「もう、わけが分からなくなってきました」
たくさんの会社に聞けば、自宅の正しい価格が分かると思っていた。
ところが10社から10通りの話を聞いたことで、答えが見つかるどころか、余計に迷ってしまいました。
そして大林さんから、こんな言葉が出ました。
「もう、わけが分からなくなってきました……」
これは、大林さんだけに起こることではありません。
自宅は大切な財産です。
少しでも高く売りたいと思うのは当然ですし、複数の会社の意見を聞くことも決して悪いことではありません。
ただし、査定額をたくさん集めれば「正解」が見つかるとは限りません。
そして、私が大林さんご夫婦のお話を聞いていて気になったのは、査定額とは別のことでした。
そもそも大林さんご夫婦は、本当にこの家を売りたいのでしょうか?
そしてもう一つ。
10社の中で一番高い査定額を出した会社を選べば、本当に一番高く売れるのでしょうか?
次回、大林さんご夫婦と一緒に、10社の査定をいったん横に置いて「これからの暮らし」から考えてみます。
そして最終的に、ご夫婦が出した答えをご紹介します。
次週をお楽しみに