不動産売却

指値交渉って悪いこと?―“下げてください”と言われたときの考え方―

1️⃣ はじめに:その一言にドキッとしたら

「この金額では難しいので、もう少し下げてもらえませんか?」

売却活動をしていると、そんな一言を耳にすることがあります。
せっかく時間をかけて価格を決めたのに、“下げてほしい”と言われると、心の中でざわつくのは自然なことです。

「そんなに安くするくらいなら、売らなくてもいい」
「値下げ交渉するなんて失礼じゃない?」

そう感じる方も多いでしょう。
でも実は、「指値交渉(さしねこうしょう)」は、不動産売買ではごく普通のやり取りの一つです。

千信不動産でも、年間を通して多くの売買をお手伝いしていますが、半数近くの取引に何らかの交渉が入るのが現実。
ここでは、売主さんの立場から「どう受け止め、どう判断すべきか」を丁寧にお話しします。


2️⃣ 指値交渉とは? “下げてほしい”の裏側

「指値(さしね)」とは、買主さんが「この金額なら購入したい」と提示する価格のこと。
たとえば販売価格が2,000万円なら、「1,900万円でお願いできませんか?」という形です。

多くの方は“値下げ要求”と捉えがちですが、
実際には「買いたい意志を見せたうえでの提案」です。

つまり――
**“交渉してくる=本気で検討しているサイン”**でもあるのです。

中には、冷やかしのようなケースもありますが、
正式な申込書(買付証明書)を出すということは、「条件が合えば契約したい」という意思表示。
交渉の裏には、「この家を手に入れたい」という前向きな気持ちがある場合がほとんどです。


3️⃣ 買主が交渉してくる理由

では、なぜ多くの買主さんが指値をするのでしょうか?
そこにはいくつかの“背景”があります。

💡 ① 住宅ローンの上限が決まっている

年収や勤続年数などから、金融機関の融資限度が決まります。
「もう少し安ければローンが通る」というケースも多く、金額を調整することで購入が実現することもあります。

💡 ② リフォーム費用を見越している

中古住宅では、購入後にリフォームを検討する方が多いです。
見積もりを取ったうえで「想定より費用がかかりそうなので、その分値引きをお願いしたい」となることも。

💡 ③ 他の物件と比較している

同じ価格帯で似た条件の物件がある場合、「比較上もう少し下げてほしい」と言われることもあります。

💡 ④ 相場を誤解しているケースも

ネット上の情報や口コミを基準に、“相場”を自分なりに決めてしまう方も。
この場合は、しっかりと根拠を示すことで、理解してもらえることも多いです。


4️⃣ 「すぐ断る」はもったいない? 考えるべき3つの視点

交渉を受けたとき、大切なのは**「値段だけで判断しない」**こと。
たとえ希望より低い金額でも、トータルで見れば良い条件の場合があります。

🪞① 価格だけでなく“条件全体”を見よう

・現金購入でローン審査がない
・契約から引渡しまでのスケジュールがスムーズ
・家の状態をあまり気にせず購入してくれる
――これらが揃っていれば、最終的な満足度は高いことも。

🌿② 「売却時期」が合っているか

たとえば「早く売りたい」という希望がある場合、価格よりスピードが重要になることもあります。
一方、「まだ住み替え先が決まっていない」というときは、条件交渉で時間を確保できる場合も。

🧩③ “この人に買ってもらいたい”という直感

内覧の際の印象や、物件への思い入れを丁寧に語ってくれる買主さん。
そうした方に譲るのは、単なる取引を超えた“ご縁”になることもあります。


5️⃣ 担当者の伝え方で結果が変わる

指値交渉の場面では、不動産会社の担当者が“クッション役”になります。
売主と買主、どちらの気持ちも理解しながら橋渡しをするのが私たちの役目です。

千信不動産では、
「ただ金額を伝えるだけ」ではなく、
**“なぜその価格を提示してきたのか”**をしっかり確認し、背景を整理してお伝えしています。

「買主さんはこういう理由で、この金額なら決断できると仰っています」
「一方で、売主様のご希望金額をどこまで守るか、一緒に考えましょう」

このように冷静に整理することで、感情的な対立を避け、
“納得の落としどころ”を見つけやすくなります。

また、場合によっては価格を下げずに条件調整でまとめることも可能です。
(例:カーテンや照明を残す、引渡し時期を柔軟にする、など)


6️⃣ 交渉を“トラブル”ではなく“ご縁”として受け止める

いわき市では、都市部ほど競り合う市場ではありませんが、
だからこそ“一件一件のご縁”がとても大切です。

買主さんも勇気を出して「もう少し下げていただけませんか」と声をかけています。
交渉は、敵対ではなく**「お互いを知る時間」**でもあります。

そして、私たちは何度も経験しています。
一度は交渉で折り合わなかったものの、
時間をおいて再度ご連絡をくださり、「やっぱりあの家が忘れられなくて」と成約に至るケース。

交渉の印象を穏やかに終えることで、
後日“再縁”につながることも珍しくありません。


7️⃣ 実際にあった、いわき市でのケース

少しイメージしやすいように、千信不動産で実際にあった事例を紹介します。

ある平エリアの戸建て。
2,080万円で販売していたところ、1,980万円で購入希望が入りました。

当初、売主様は「100万円も下げるのはちょっと…」と迷われていました。
ですが、買主様は「お子さんの入学時期に合わせて早く引越したい」とのこと。
最終的に、価格を少し調整し、引渡しを早める条件で成約。

結果的に、売主様も“良い時期にスムーズに売れた”と納得していただけました。

このように、“譲る”ことが“損”とは限らないのです。
交渉を前向きに捉えることで、結果として良いご縁に恵まれることも多いのです。


8️⃣ まとめ:大切なのは「納得して手放せること」

指値交渉は、売却活動の中で避けて通れない場面です。
でも、それを**「嫌なこと」ではなく「ご縁を見極める機会」**と捉えることで、心の持ち方が変わります。

価格を守ることも大切。
でも、**“納得して手放せる取引”**こそ、後悔のない売却です。

千信不動産では、売主様の想いを大切にしながら、
「どう伝えるか」「どこまで受け入れるか」を一緒に考え、最良の選択をサポートいたします。


🌸さいごに

売主さんが迷ったとき、
「この交渉、どう考えたらいいの?」と感じたときは、
どうぞ私たちにご相談ください。

感情的になりがちな場面でも、
第三者として冷静に整理し、**“納得できる答え”**を一緒に導き出します。


📞 千信不動産(ちのぶ不動産)
いわき市内郷高坂町大町80-1ヴィラ栞C
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