はじめに:査定書ってどう作るの?
不動産を売却する際に作成される「査定書」は、ただ感覚で価格を決めるものではありません。
信頼できる査定書を作るには、公的な指標や資料に基づいた客観的な価格算出が必要です。
今回は、査定書の作成にあたって用いられるデータや手順を解説します。
「これから不動産会社を開業したい」方や、「他社の根拠ある査定書を見てみたい」という売主さんもぜひご参考に!
まず査定対象の物件について、以下の情報を整理します:
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所在地(登記簿の地番と現住所)
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土地面積・地目・接道状況
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建物の構造・築年数・延床面積
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接道方位やインフラ(上下水道・ガスなど)
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現況(空家・居住中・賃貸中など)
これらの情報は登記簿謄本や公図、建物図面、固定資産税通知書などから取得します。
土地の評価には以下のような公的価格指標が使われます。
■ 地価公示価格(国交省)
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毎年3月に発表される、国が選定した標準地の価格
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いわき市内でも地点が限られている
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一般の土地と位置・利用状況が異なることもある
■ 都道府県地価調査(基準地価)
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各都道府県が発表(9月頃)
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地価公示と同様だが、評価基準は若干異なる
■ 相続税路線価(国税庁)
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国税庁が毎年7月に発表
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通常は公示価格の約80%程度
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実際の道路ごとの価格が出ているので詳細分析がしやすい
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路線価図検索で閲覧可能
■ 固定資産税評価額(市町村)
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固定資産税課税の基準となる価格
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実勢価格の7割前後といわれる
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「評価証明書」などで確認
これらの指標を参照し、該当地と比準することで土地の単価を導き出し、
土地面積×単価=土地価格として算出します。
建物の価格は以下のように算出されるのが一般的です。
■ 再調達原価方式
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同等の建物を新築した場合の原価をベースに
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減価償却(経年劣化)を考慮して現在価値を算出
例:木造住宅(延床100㎡・新築価格1,500万円)
→ 築20年 × 償却率80%=残存価値300万円
なお、リフォーム履歴や劣化状況により調整を加えることもあります。
同じエリア内、類似条件(面積・築年数・用途地域など)の成約事例を調査します。
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国土交通省の土地総合情報システム
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レインズ(不動産業者向け)
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自社実績・他社のチラシ等
成約価格をもとに、対象物件との違い(敷地形状・道路付けなど)を調整し、類似取引との比較から価格を導出します。
最後に以下のような個別要因を加味します。
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現在の市場の動向(売れ行き・在庫)
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土地形状・接道条件の良し悪し
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近隣施設(学校・スーパー・病院など)
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建物の状態・リフォーム歴
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境界未確定・再建築不可・心理的瑕疵などの制限事項
すべての情報と分析をもとに、「査定書」としてまとめます。
構成は以下のような形式が一般的です。
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物件概要(所在地・構造・面積など)
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土地・建物の評価根拠
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比較事例の要約
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総合評価による査定価格の提示
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売却時の想定期間・販売方法の提案
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参考資料(地価公示、路線価図、公図などの添付)
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