マイホームの購入を考える際、避けて通れないのが「住宅ローン」。
でも実際には、
「他にも車のローンや教育ローン、カードローンがある…」
「それも全部まとめて一本化できないの?」
といったご相談をよくいただきます。
本記事では、住宅ローンと他のローン(いわゆる“おまとめ”)を合算することのメリット・デメリットを、わかりやすく解説していきます。
そもそも「ローンの合算」ってどういうこと?
●「合算」のパターンは主に2つ
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住宅ローンと他のローンをまとめる(おまとめ)
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夫婦など複数人で収入を合算し、借入限度額を上げる
本記事で扱うのは【1】の「他のローンをまとめるケース」です。
なぜローンをまとめる人がいるの?
住宅ローンの審査では、他に借りているローンがあると、その分“借入可能額”が減るという仕組みになっています。
たとえばこんなケース:
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年収:500万円
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住宅ローンの目安:3,000万円
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車のローン残高:200万円
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クレジットカードのリボ払い:50万円
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教育ローン:100万円
このように複数の借入があると、住宅ローンの審査で不利になります。
そこで金融機関によっては、
「住宅ローンにまとめて、1本のローンにしましょう」
という提案がされることもあります。
ローン合算のメリット
1.金利が下がる可能性が高い
- 住宅ローンの金利は年0.5%~1.5%前後(2025年現在)
- 一方、カードローンやリボ払いは10%以上のことも…
→ 高金利のローンを低金利で借り換えできるのが大きな魅力です。
2.月々の返済がラクになる
複数のローンを毎月それぞれ返すよりも、
1本にまとめて返済計画を見直す方が管理しやすく、月の負担も軽く感じられます。
3.心理的ストレスが減る
- 「あっちもこっちも返済…」という状況が解消
- 借金が“1本化”されるだけで、気持ちがスッキリするという声も
4.審査に通りやすくなることも
- おまとめによって**“債務の整理ができている”**と見なされ、審査がスムーズになることもあります。
ローン合算のデメリット
1.借入総額が増える可能性がある
まとめた結果、
住宅ローンが3,000万円 → 3,400万円になるなど、
当初よりも借入総額が増えてしまうことがあります。
2.返済期間が延びる場合がある
おまとめによって、
**「今まで5年で完済予定だった教育ローンが、35年ローンの中に組み込まれる」**という形になることも。
→ 長期的には支払い総額が多くなるリスクもあります。
3.繰上返済の計画がしづらくなる
複数のローンであれば、金利の高いものから優先して返すことも可能ですが、
1本化してしまうと繰上返済の戦略が単一化します。
4.将来売却時に「ローン残高>査定価格」になるリスク
住宅ローンに他のローン(車や教育など)を合算すると、借入総額が増えるのが一般的です。
その分、住宅そのものの評価額よりもローン残高が上回るリスクも生まれます。
▽ たとえばこんなケース:
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購入価格:3,000万円
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他のローンを合算し、借入総額:3,400万円
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5年後の不動産査定価格:2,500万円
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残債:2,900万円
この場合、売却してもローンが完済できない=差額を自己資金で補填する必要があるという事態に。
これを「オーバーローン状態」といいます。
▽ なぜ起こる?
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家は購入直後から市場価値が下がる(特にマンションや建売住宅)
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借入額が“住宅本体+他ローン”で膨らんでいるため
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金利が低く、元本がなかなか減らないローン設定の場合は特に注意
▽ 対策は?
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合算する金額を抑える
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借入期間を見直して繰上返済の計画を立てる
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定期的に不動産の相場を把握しておく
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売却時に使える「任意売却」や「つなぎ融資」などの選択肢を知っておく
合算ローンができる人・できない人
●合算ローンが利用できる条件の例:
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他のローン残高が少額(数百万円)
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年収に対して返済比率が高くない
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勤続年数や信用情報に問題がない
●利用が難しいケース:
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リボ払いの延滞履歴がある
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消費者金融からの借入が多い
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年収に対して借入が多すぎる(返済比率が高い)
実際にあった事例で解説
■ケース1:車ローンとカードローン合算で審査通過
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年収:480万円
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車ローン残高:150万円
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カードローン:40万円
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希望住宅ローン:2,800万円
→ おまとめで合算し、住宅ローン枠3,000万円で審査通過
→ 金利も車ローンの3.2% → 住宅ローンの0.9%に!
■ケース2:合算で月々の返済が1.5万円減
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教育ローン:月2.8万円
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住宅ローン予定返済:月7.5万円
→ 合算で一本化した結果:月8.8万円に!
→ 管理が楽+金利が下がってお得に
気をつけたい「住宅ローン控除」への影響
合算の内容によっては、**住宅ローン控除(年末残高の0.7%が所得税・住民税から控除)**が満額受けられない場合があります。
注意すべきポイント:
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合算した部分が「住宅に直接関係ないローン」だと、控除の対象外になることも
→ 税理士または金融機関と事前に確認を!
合算の流れとポイント
①事前審査で「合算可」か確認
→ 銀行や住宅ローン担当者に「おまとめ希望」の旨を伝える
②合算希望のローンを洗い出す
→ 残高証明・金利・返済期間などを把握
③住宅ローン審査申込時に書類を一緒に提出
④借入実行後に各ローンを精算(完済)
→ 合算ローンで一括返済し、借入先を住宅ローン1本にまとめる
どんな人におすすめ?
✔ 他に複数ローンがあり、住宅ローン審査に不安がある人
✔ 高金利のローンを抱えている人
✔ 毎月の返済がバラバラで管理が煩雑な人
✔ 将来的に一本化しておきたいと考えている人
まとめ
住宅ローンに他のローンを合算することは、
金利の引き下げ・返済の一本化・審査対策など、さまざまなメリットがあります。
しかし同時に、
返済総額が増える・返済期間が長くなる・住宅ローン控除の対象にならない部分が出るなど、注意点もあります。
ポイントは、メリットとデメリットをしっかり比較し、自分に合った選択をすること。
そして、事前に金融機関に相談することがとても大切です。
【最後に】
千信不動産では、
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