不動産を売却するとき、「いくらくらいで売れるかな?」と売却価格ばかりに目が向きがちです。しかし、実際に手元に残る金額(手取り額)は、売却価格から経費を差し引いた金額になります。
「思ったより手取りが少ない…」とならないように、不動産売却にかかる経費を事前に理解しておくことが大切です。
この記事では、不動産売却にかかる主な経費の種類と、それぞれの目安金額、注意点まで徹底解説します。この記事を読めば、売却時の費用負担を正確に把握でき、後悔しない売却を進められるようになります。
-
不動産売却でかかる経費の全体像
-
不動産仲介手数料の計算方法と注意点
-
登記関連の費用
-
測量費・建物解体費などの実費負担
-
売却に伴う税金(譲渡所得税など)
-
その他の費用(引越し費用・修繕費など)
-
経費の節約方法とポイント
-
まとめ|経費を把握して賢く売却しよう!
1. 不動産売却でかかる経費の全体像
不動産を売却するときには、以下のような経費がかかることが一般的です。
-
不動産仲介手数料
-
登記関連の費用(抵当権抹消登記など)
-
測量費・解体費用
-
契約書に貼付する印紙代
-
売却に伴う税金(譲渡所得税、住民税など)
-
その他(ハウスクリーニングやリフォーム費用、引越し代など)
経費の総額は物件の種類や状況によって大きく変わりますが、売却価格の3〜7%程度が目安と言われています。
2. 不動産仲介手数料の計算方法と注意点
不動産を売却する際、多くの場合、不動産会社に仲介を依頼します。このときにかかる費用が仲介手数料です。
仲介手数料の上限
仲介手数料は法律で上限が決められており、以下の速算式で計算できます。
【売買価格(税別)が400万円超の場合】
仲介手数料 = (売買価格 × 3% + 6万円) + 消費税
例えば、売買価格が3000万円の場合の仲介手数料は以下の通りです。
3000万円 × 3% = 90万円
90万円 + 6万円 = 96万円
96万円 × 消費税1.1 = 105.6万円
この計算で、おおよそ105.6万円が仲介手数料になります。
支払いのタイミング
通常、仲介手数料は以下のように分けて支払います。
-
契約時:半額
-
引渡し時:残り半額
ただし、不動産会社によっては引渡し時に全額請求される場合もあります。
3. 登記関連の費用
不動産売却時には、売主側で行う登記手続きがあります。主に以下の2つです。
① 抵当権抹消登記費用
住宅ローンが完済されている場合でも、不動産に抵当権が設定されていることがあります。売却の際には抵当権を抹消する登記が必要です。
費用の目安
-
登録免許税:1物件につき1,000円
-
司法書士報酬:2~3万円程度
合計で3~5万円程度かかるケースが多いです。
② 所有権移転登記は買主負担
不動産売却に伴う所有権移転登記は、買主負担です。売主は抵当権抹消登記のみ行うのが一般的です。
4. 測量費・建物解体費などの実費負担
測量費用
売却する土地に境界が不明確な場合や、トラブルを避けたい場合には土地の境界確定測量を行います。
測量費用の目安は30万~100万円程度とされています。
特に古い土地や隣接地との境界線が曖昧な場合、買主側から測量を求められることが多いです。
建物解体費用
古家付きの土地を売却する場合、買主が「更地渡し」を希望することがあります。その場合、建物解体費用は売主負担になるケースが多いです。
解体費用の目安
-
木造住宅:坪3万~5万円
-
鉄骨造:坪5万~7万円
例えば30坪の木造住宅なら100万円前後が目安です。
5. 契約書に貼付する印紙代
不動産売買契約書には印紙税法に基づき収入印紙を貼付しますが、現在は租税特別措置法による軽減税率が適用されています(2024年4月1日以降も継続中)。
【印紙税の一例(軽減税率適用)】
売買価格 | 印紙税額(軽減税率) |
---|---|
100万円超~500万円以下 | 1,000円 |
500万円超~1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円超~5,000万円以下 | 1万円 |
5,000万円超~1億円以下 | 3万円 |
売主・買主双方が1通ずつ契約書を保管するため、売主側でも1通分の印紙代が必要です。
6. 売却に伴う税金(譲渡所得税など)
売却益(譲渡所得)が出た場合、売主には譲渡所得税・住民税が課税されます。
譲渡所得の計算方法
譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用)
-
取得費:購入価格、購入時の仲介手数料、登記費用など
-
譲渡費用:売却時の仲介手数料、測量費、解体費など
取得費がわからない場合は、売却価格の5%を概算取得費として計算できます。
税率(所有期間による)
所有期間 | 所得税・住民税(合計) |
---|---|
5年以下(短期) | 約39% |
5年超(長期) | 約20% |
売却する不動産が**マイホーム(居住用財産)**の場合、3,000万円の特別控除が使えることもあります(一定の条件を満たす必要あり)。
7. その他の費用(引越し費用・修繕費など)
不動産売却時には、以下のような想定外の費用も発生することがあります。
① 引越し費用
住み替えを伴う場合、引越し代も考慮する必要があります。
荷物量や距離により異なりますが、10万~30万円程度が目安です。
② 修繕・ハウスクリーニング
古い物件では、売却前に水回りの修繕やハウスクリーニングを行うケースがあります。
軽微な修繕・クリーニングでも数万円~10万円程度かかります。
8. 経費の節約方法とポイント
不動産売却時の経費は、なるべく抑えたいもの。以下のポイントを押さえることで、費用負担を軽減できます。
-
複数の不動産会社に査定・相談する
→ 仲介手数料は上限が決まっていますが、サービス内容や割引の可否は会社によって異なります。 -
ハウスクリーニングや軽微な修繕を自分で行う
→ プロに頼むよりも数万円単位で節約可能です。 -
測量や解体の必要性を慎重に検討する
→ 必要ない場合は実施しないことで大幅に費用を抑えられます。 -
税制優遇の利用
→ マイホーム売却の3,000万円特別控除や、買換え特例などを活用することで税負担を減らせます。
まとめ|経費を把握して賢く売却しよう!
不動産売却では、売却価格だけでなく、そこから引かれる経費を正しく把握することが大切です。
主な経費としては、
✅ 不動産仲介手数料
✅ 登記費用(抵当権抹消など)
✅ 測量・解体費用
✅ 契約書の印紙代
✅ 税金(譲渡所得税・住民税)
✅ その他(引越し費用など)
が挙げられます。
目安としては、売却価格の3~7%程度が経費としてかかるケースが多いです。
実際に売却を進める際は、不動産会社に「手取り額の見込み」を必ず確認し、将来的な資金計画に役立てましょう。
疑問点があれば、不動産会社や税理士など専門家に相談するのがおすすめです!
不動産売却は人生の大きな節目。しっかり経費を把握して、後悔のない売却を実現してくださいね。